【失敗談】小学生の英語学習、何から始める?アルファベットで息子が英語嫌いになった私がたどり着いた「たった1つの答え」
「2020年から小学校で英語が必修化」。そのニュースを見たとき、あなたの心にはどんな感情が浮かびましたか?
「いよいよ来たか…」という納得感。
「うちの子、大丈夫かしら?」という漠然とした不安。
そして、「家庭で何かサポートしなきゃ!」という、親としての強い責任感。
きっと、多くの親御さんが同じように感じたはずです。私もその一人でした。小学2年生の息子を持つ私は、焦っていました。「周りの子たちはもう英語の塾に通い始めている」「早くしないと取り残されてしまう」。そんな見えないプレッシャーに背中を押され、私は「良かれと思って」ある行動に出たのです。
それは、多くの人が最初に思いつくであろう「アルファベットの練習」でした。
「さあ、今日から英語のお勉強を始めようね!まずはAから書いてみようか」。にこやかに息子に語りかけ、キャラクターが描かれた可愛らしいアルファベットドリルを渡しました。しかし、それが悪夢の始まりでした。
最初の2、3日は物珍しさで取り組んでいた息子。しかし、すぐに「これ、つまんない…」と呟くようになりました。それでも私は「将来のためだから」と励まし(という名の強制をし)続けました。そしてある日の夕食後、事件は起きたのです。
ドリルを前に、一向に鉛筆を動かさない息子。「どうしたの?早く書かないと」と急かす私に、息子は俯いたまま小さな声で言いました。
「もう、やりたくない…英語、大嫌い!」
その言葉と共に、息子の目からは大粒の涙がこぼれ落ちました。その瞬間、私の頭はハンマーで殴られたような衝撃を受けました。良かれと思ってやっていたことが、息子の可能性の芽を摘み、あろうことか「英語嫌い」という最悪のレッテルを貼ってしまったのです。
『なぜ私だけがこんな失敗を…?』『私のやり方が、この子の未来を閉ざしてしまったのかもしれない…』
その夜、眠れずにスマートフォンの光を眺めながら、私の心は後悔と自己嫌悪でいっぱいでした。「小学生 英語 家庭学習 何から」…検索窓に打ち込む指が震えます。そこに並ぶのは、「まずはアルファベットから」「フォニックスが重要」「おすすめ教材ランキング」といった、ありふれた情報ばかり。でも、そのどれもが、今の私と息子には響きませんでした。
この記事を読んでいるあなたも、もしかしたら当時の私と同じように、出口のないトンネルの中で途方に暮れているのかもしれません。
でも、どうか安心してください。そんなドン底の失敗を経験した私だからこそ、今、あなたに伝えられることがあります。あの絶望の日から試行錯誤を重ねた結果、今では息子が自分から英語のアニメを観たがり、鼻歌で英語の歌を口ずさむようになったのです。
その鍵は、「何から始めるか」という『方法論』ではありませんでした。それは、もっと根本的で、もっと温かい『ある考え方』へのシフトだったのです。
この記事では、私が犯した過ちの告白から、あなたがお子さんの英語学習で同じ轍を踏まないための具体的なステップまで、私の全経験を余すところなくお伝えします。高価な教材は一切不要です。今日から、ご家庭で、お金をかけずに始められる方法です。この記事を読み終える頃には、あなたの心の中の焦りや不安は、お子さんと一緒に英語を楽しむ「ワクワク」に変わっているはずです。
なぜ私たちは「何から始めるか」で迷ってしまうのか?
そもそも、なぜこんなにも多くの親が「何から始めればいいの?」という問いに悩まされるのでしょうか。その原因は、決してあなたの情報収集能力が低いからでも、教育熱心でないからでもありません。構造的な3つの理由があるのです。
理由1:情報が多すぎるという「呪縛」
インターネットを開けば、英会話スクールの広告、無数の学習アプリ、インフルエンサーが勧める教材で溢れかえっています。どの情報も「これがベスト!」と謳っており、選択肢が多すぎるために、かえって何が自分の子に最適なのか判断できなくなってしまうのです。これは、心理学でいう「決定麻痺」の状態。私たちは情報の洪水の中で溺れかけ、最初の一歩を踏み出せずにいるのです。
理由2:「正解」を求める親の愛情と不安
「間違った方法で、子どもに英語嫌いになってほしくない」。この想いは、子を愛する親として当然の感情です。しかし、この「失敗したくない」という強い気持ちが、私たちを「完璧な正解」探しへと駆り立てます。特に、自分自身が英語学習で苦労した経験があると、その傾向はさらに強まります。子どものためを思う愛情が、皮肉にも行動を縛る足枷となってしまうのです。
理由3:目に見える「勉強」に囚われるワナ
私が陥った「アルファベットドリル」のワナもこれです。私たちは無意識のうちに、「学習=机に向かって何かを書いたり覚えたりすること」と定義してしまっています。ドリルを進める、単語を覚える、といった「目に見える進捗」がないと、何だかサボっているような、不安な気持ちになるのです。しかし、言語の習得、特に幼い子どもの場合は、この「目に見える勉強」こそが、最も遠回りな道であることに、私は後になって気づかされました。
英語学習は「庭づくり」と同じだった!私が気づいたたった1つの真実
息子が英語嫌いを宣言し、途方に暮れていたある日、私はたまたま見ていた園芸番組の言葉にハッとさせられました。
「美しい花を咲かせるには、種をまく前に、まず土を耕し、栄養を与える『土壌づくり』が何よりも大切です」
その瞬間、私の中で全てが繋がりました。小学生の英語学習は、『庭づくり』と全く同じなのだと。
多くの人は、焦ってすぐに綺麗な花(単語や文法)の種を蒔こうとします。私が息子にさせたアルファベットドリルは、まだ耕されていないカチカチの固い地面に、無理やり種を押し込むようなものでした。それでは根が張らず、すぐに枯れてしまうのは当たり前です。
本当に最初にすべきだったのは、種まきではありませんでした。それは、英語という種がすくすくと育つための、ふかふかで栄養満点の『土壌づくり』だったのです。
この「土壌」とは、具体的に言えば「英語の音やリズムを心地よいものとして感じる心」であり、「英語耳」とも呼ばれるものです。この土壌さえしっかり作っておけば、後から蒔いた種(単語やフォニックス、文法)は、驚くほどのスピードで根を伸ばし、やがて美しい花(会話力)を咲かせます。
目に見える花ばかりに気を取られ、その下にある最も重要な「土壌」を見過ごしていたこと。それが、私の最大の失敗だったのです。
今日から始める!お金をかけない「英語の土壌づくり」3ステップ
では、具体的にどうやってその「土壌」を作ればいいのでしょうか。高価な教材や特別なカリキュラムは必要ありません。ご家庭にあるもの、無料で使えるものを活用して、今日からすぐに始められる3つのステップをご紹介します。
Step1:耳を育てる「英語のシャワー」を浴びせよう(1日5分〜)
最初の目標は「英語=楽しい音」とインプットすること。勉強だと思わせないことが鉄則です。
- BGMとして英語の歌をかけ流す
朝の準備中や車での移動中など、日常生活の中にBGMとして英語の歌を流しましょう。YouTubeで「Super Simple Songs」や「Cocomelon」と検索すれば、子どもが喜ぶ質の高い動画が無数に見つかります。歌詞の意味が分からなくても全く問題ありません。英語特有のリズムやイントネーションが、シャワーのように子どもの脳に降り注ぎ、自然と耳が慣れていきます。
- 意識して聴かせようとしない
ここでのポイントは「さあ、聴きなさい!」と強制しないこと。ただのBGMとして、そこにあるのが当たり前の環境を作るだけです。親が楽しそうに口ずさんでいると、子どもも自然と興味を持つようになります。
Step2:目を慣らす「遊びになる」ビジュアル教材
耳が少し慣れてきたら、次は目からのインプットです。これも「お勉強」ではなく「遊び」の延長線上で取り入れます。
- 英語音声でアニメを観る
お子さんが好きなキャラクターのアニメや映画を、音声だけ英語に切り替えて見せてみましょう。(NetflixやAmazon Prime Videoなどで簡単に切り替えられます)。ストーリーを知っている作品なら、言葉がわからなくても映像で内容を理解できるため、抵抗なく英語の音声を受け入れてくれます。「このキャラクター、英語だとこんな声なんだね!」と、新しい発見として楽しむのがコツです。
- 英語の絵本を「読む」のではなく「眺める」
図書館には美しい英語の絵本がたくさんあります。最初は無理に日本語訳をしようとせず、親子で絵を眺めながら「Wow, a big red apple!」のように、知っている簡単な単語を指差して言うだけでも十分です。絵から意味を推測する力も養われます。エリック・カールの『はらぺこあおむし(The Very Hungry Caterpillar)』などは、シンプルでカラフルなので最初の一冊に最適です。
Step3:口を動かす「アウトプット」は絶対に焦らない
インプットが十分に溜まってくると、子どもは自然と口から英語を発し始めます。それを急かしたり、間違いを訂正したりするのは絶対にNGです。
- 親子で使える「魔法のフレーズ」
「Good morning」「Thank you」「Good night」など、日常の挨拶を英語に置き換えてみましょう。また、何かを渡すときに「Here you are.」と言ってみるなど、簡単なフレーズを一つ決めて、親子で言い合ってみるのも楽しいゲームになります。
- 英語の歌を一緒に歌う
かけ流していた歌の中で、お子さんが気に入ったものがあれば、一緒に歌ってみましょう。完璧に歌えなくても、メロディーに合わせてハミングするだけでも立派なアウトプットです。「上手に歌えたね!」とたくさん褒めてあげることで、英語を話すことへの自信に繋がります。
2つのアプローチ比較表
私が失敗した「種まき」から始める方法と、今回ご紹介した「土壌づくり」から始める方法の違いを、表で比較してみましょう。
| 比較項目 | 従来の学習法(種まき重視) | 土壌づくり学習法(インプット重視) |
|---|---|---|
| ゴール | 単語や文法を「覚える」こと | 英語の音やリズムを「楽しむ」こと |
| 主な活動 | ドリル、書き取り、単語暗記 | 歌、アニメ鑑賞、絵本、ごっこ遊び |
| 子どもの反応 | 飽きやすい、苦痛に感じやすい | 夢中になりやすい、楽しいと感じる |
| 得られる力 | 読み書きの基礎(限定的) | 英語のリズム感、リスニング力、英語への好意 |
| 親の役割 | 先生、監督者 | 遊び相手、最高のファン |
| 注意点 | 英語嫌いになるリスクが非常に高い | 効果がすぐに見えにくいが、土台が強固になる |
この表を見れば、どちらが長期的に見てお子さんのためになるかは一目瞭然ではないでしょうか。
よくある質問(FAQ)
ここで、多くの親御さんが抱くであろう疑問にお答えします。
Q1. フォニックスはいつから始めたらいいですか?
A. フォニックス(文字と音の関係を学ぶルール)は、読み書きの力を伸ばす上で非常に有効です。しかし、焦る必要はありません。まずは英語の音に十分親しんで、「この音、知ってる!」という状態になってから、遊び感覚で取り入れるのが理想です。アルファベットの歌を歌いながら、「A is for Apple, /æ/ /æ/ Apple」のように、音を意識させる程度からで十分です。
Q2. 親が英語を話せなくても大丈夫ですか?
A. 全く問題ありません。むしろ、親が完璧でない方が、子どもと一緒に学ぶ姿勢を見せることができ、良い効果を生むこともあります。大切なのは、流暢な英語を話すことではなく、お子さんと一緒に英語の歌を歌ったり、アニメを観て笑ったりする「楽しい時間」を共有することです。発音に自信がなければ、ネイティブの音声が流れる教材をそのまま使えば良いのです。
Q3. どれくらい続ければ効果が出ますか?
A. 効果を急がないでください。「土壌づくり」は、効果が見えにくいのが特徴です。しかし、水面下では着実に根が伸びています。数ヶ月後、お子さんがふとした瞬間に英語のフレーズを口にしたり、英語の歌を口ずさんだりする日が必ず来ます。その小さなサインを見逃さず、思いっきり褒めてあげてください。大切なのは継続すること。1日5分でもいいので、毎日英語に触れる環境を作ってあげましょう。
まとめ:答えは教材の中にない。子どもの笑顔の中にある。
かつて私は、「何から始めるべきか」という正解を必死に探していました。しかし、ドン底の失敗を経て気づいたのは、小学生の家庭学習に、たった一つの「正解」など存在しないということでした。
本当に大切なのは、
- 英語を「勉強」ではなく「楽しい遊び」の一つにすること
- 成果を焦らず、まずは英語の音やリズムに親しむ「土壌づくり」に徹すること
- そして何より、親自身が子どもと一緒にそのプロセスを楽しむこと
この3つです。
もしあなたが今、昔の私のように焦りや不安で押しつぶされそうになっているのなら、一度すべての教材や情報を手放してみてください。そして、お子さんの顔を見てください。
あなたが本当にすべきことは、難しいドリルをさせることではありません。
今日、お子さんと一緒に、YouTubeで英語の歌に合わせてダンスをしてみませんか?
夜寝る前に、美しい英語の絵本を一緒に眺めてみませんか?
そこに生まれる「楽しいね!」という親子の笑顔こそが、お子さんの未来の可能性を無限に広げる、最高の英語教育の第一歩なのです。
あなたの英語家庭学習が、不安な「義務」から、親子の絆を深める「最高の遊び」に変わることを、心から願っています。
