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【コピペOK】読書感想文が苦手な子のための書き方|親子の夏休み戦争を終わらせる魔法のテンプレート

【コピペOK】読書感想文が苦手な子のための書き方|親子の夏休み戦争を終わらせる魔法のテンプレート

「……また、この季節が来てしまった」

カレンダーの8月の日付を眺めながら、あなたは深いため息をついていませんか?

そう、夏休みのラスボス、読書感想文です。

本を読むのは大好きなはずの我が子。物語の世界に夢中になっている姿は、あんなに微笑ましいのに。いざ「感想文を書きなさい」と真っ白な原稿用紙を渡した途端、ピタリと動きが止まる。

鉛筆を握りしめたまま、うんうん唸る息子。時計の針だけがカチカチと無情に進んでいく。リビングに漂う重苦しい空気。

「思ったことを書けばいいのよ」

優しく声をかけてみるものの、返ってくるのは「……思ったこと、ない」という絶望的な一言。

『なぜ私だけがこんな思いを…もうダメかもしれない…』

気づけば、最初は励ましだった声が、次第に「早く書きなさい!」という怒声に変わっていく。子供は目に涙を浮かべ、あなたは自己嫌悪に陥る。楽しいはずの夏休みが、毎年この読書感想文のせいで、親子喧嘩の思い出に上書きされてしまう。

この悪夢のような光景、あなたのご家庭でも繰り広げられていませんか?

でも、安心してください。あなたとお子さんは、決して一人ではありません。そして、お子さんの国語力が低いわけでも、あなたの教え方が悪いわけでもないのです。

実は、ほとんどの子供たちが“あること”を知らないだけ。それは、心の中にあるフワフワとした「感想」を、どうやって「文章」という形に組み立てていけばいいのか、その『設計図』の存在です。

この記事では、元国語教師である私が、これまで数々のご家庭を読書感想文の呪縛から解放してきた「魔法の書き方」を、余すところなくお伝えします。

この記事を最後まで読めば、あなたはこう確信するでしょう。

「なんだ、読書感想文って、こんなに簡単だったんだ!」と。

さあ、親子の夏休み戦争に、今年で終止符を打ちましょう。

なぜ、うちの子は感想文が書けないの?根本原因は「レゴブロックの悲劇」

なぜ、本は読めるのに感想文は書けないのでしょうか?

その答えを理解するために、少し想像してみてください。

あなたは子供に、たくさんのレゴブロックが入った箱をドンと渡して、こう言います。

「さあ、これで立派なお城を作ってごらん!」

子供はどうするでしょうか?おそらく、途方に暮れてしまいますよね。ブロックという「材料」はたくさんあっても、どんなお城を作りたいのか、土台からどう組み立てればいいのか、その「設計図」がなければ、何から手をつけていいか分からないからです。

読書感想文も、これと全く同じです。

  • レゴブロック = 本を読んで感じたこと、考えたこと(面白い、悲しい、すごい、など)
  • お城 = 読書感想文という完成品
  • 設計図 = 感想を文章に組み立てるための「型」や「質問」

私たちは子供に「思ったことを書きなさい」と、大量のブロックを渡しているだけなのです。子供は頭の中にたくさんの「感想ブロック」があるのに、それを組み立てる「設計図」を知らないから、真っ白な原稿用紙(土地)の前で立ち尽くしてしまうのです。

誤解1:「立派なこと」を書かなければいけないという呪い

多くの子供(そして親も)が、「先生を唸らせるような、深くて立派な感想を書かなければ」と思い込んでいます。しかし、それは大きな間違いです。読書感想文に求められているのは、「あなたの心が、どう動いたか」を正直に書くことだけです。

  • 「主人公の〇〇が、僕と同じで忘れ物が多いから笑っちゃった」
  • 「この場面のご飯が、すごく美味しそうでお腹がすいた」

こんな些細なこと、個人的なことでいいのです。むしろ、そうした「自分ごと」として捉えた感想こそが、オリジナリティのある素晴らしい感想文の第一歩になります。

誤解2:「あらすじ」は書いてはいけないという神話

「あらすじばかり書いちゃダメ!」と、つい言いがちですが、これも子供を混乱させる原因です。あらすじは、感想を語る上での「舞台説明」として必要不可欠な要素。問題なのは、その割合です。

全く書かないのではなく、「感想を言うために必要な部分だけ、簡単に紹介する」という意識が大切です。全体の2割程度を目安にすれば、決して「あらすじだらけ」にはなりません。

誤解3:「書き始める前」にすべてを考えなければいけないというプレッシャー

原稿用紙を前にして、頭の中で完璧な文章を組み立てようとしていませんか?大人でも至難の業です。文章は、書きながら考え、考えながら書き進めるもの。

まずは「部品」を作ることに集中しましょう。これから紹介する「魔法の質問」を使って、短い答え(部品)をたくさん集める。そして最後に、それを「設計図(テンプレート)」に沿ってプラモデルのように組み立てていく。この手順さえ守れば、誰でも必ず感想文は完成します。

これだけで8割完成!感想の“原石”を掘り出す魔法の質問5選

それでは、いよいよ感想の「レゴブロック」を集める作業に入ります。お子さんに、以下の5つの質問を投げかけてみてください。ポイントは、親子で会話を楽しみながら、答えをメモしていくことです。完璧な文章で答える必要はありません。単語や短いフレーズで十分です。

質問1:この本の中で、一番「うわー!」って思ったのはどの場面?

「面白い」や「すごい」といった言葉ではなく、「うわー!」という擬音を使うのがポイントです。心が大きく動いた場面には、必ずプラスかマイナスの「うわー!」があります。

  • :「この本読んでて、一番『うわー!まじか!』って思ったの、どこだった?」
  • :「うーん、主人公が、親友に嘘をついちゃったところかな…」
  • :「なるほど!そこか!じゃあ、メモしとこう。『親友に嘘をついた場面』っと」

この「一番」を見つけるだけで、感想文の核が決まります。

質問2:もし、主人公に会えたら、なんて声をかける?

物語の世界に入り込み、登場人物を友達のように感じてもらうための質問です。これにより、本の内容を「自分ごと」として捉え直すことができます。

  • :「その嘘ついちゃった主人公に、もし会えたらなんて言う?」
  • :「『なんでそんなことしたんだよ!』って怒るかも。でも、『早く謝ったほうがいいよ』ってアドバイスもするかな」
  • :「いいね!怒る気持ちと、アドバイスか。両方書いておこう」

質問3:自分と主人公(または他の登場人物)で、似ているところ・違うところはあった?

自分との共通点や相違点を探すことで、感想に深みが生まれます。これは、感想文のキモである「自分の体験と結びつける」作業の第一歩です。

  • :「主人公って、〇〇(息子の名前)と似てるところあった?」
  • :「うーん、僕も本当のこと言えなくて、黙っちゃう時があるから、そこは似てるかも」
  • :「そっかそっか。じゃあ、違うところは?」
  • :「でも、僕は親友に嘘はつかないかな…たぶん」

質問4:この本を読む前と後で、気持ちや考え方は何か変わった?

読書による「成長」や「変化」を言語化させる質問です。少し難しいかもしれませんが、「へー、世の中にはこういうこともあるんだな」といった小さな発見でも構いません。

  • :「この本を読んでみて、『嘘ってやっぱりダメだな』とか、何か新しく思ったことある?」
  • :「嘘はダメだけど、ついちゃう気持ちも、ちょっとだけ分かった気がする…」
  • :「おお、深いね!それ、すごく大事な感想だよ!」

質問5:この本のタイトルを、自分で付け直すとしたら、どんなタイトルにする?

遊び心のある質問ですが、これが強力な効果を発揮します。本全体を要約し、自分なりにテーマを掴む訓練になるからです。

  • :「じゃあ最後にクイズね!この本のタイトルを、君が付け直すとしたら、どんな名前にする?」
  • :「えー、なんだろう…『ごめんねって言う勇気』とか?」
  • :「天才じゃん!それ、最高のタイトルだよ!じゃあ、それもメモだ!」

さあ、どうでしょう。たった5つの質問に答えただけで、メモ帳には感想文の「部品」がたくさん集まったはずです。ここまでくれば、もう8割は完成したも同然です。

組み立てるだけ!誰でも書ける「サンドイッチ構成テンプレート」

集めた「部品(メモ)」を、いよいよ組み立てていきましょう。使う設計図は、誰でも簡単に使える「サンドイッチ構成テンプレート」です。パンで具を挟むように、文章を構成していきます。

パーツ役割何を書くか(メモのどれを使うか)
パン(はじめ)導入・問題提起– この本を読もうと思ったきっかけ<br>- 一番心に残ったこと(質問1の答え)
具(なか①)具体的な場面– なぜそこが心に残ったのか、詳しく説明<br>- その場面の簡単なあらすじ
具(なか②)自分の体験と比較– その場面を読んで、自分のどんなことを思い出したか(質問3の答え)<br>- 主人公と自分を比べる
具(なか③)全体を通しての感想– 主人公にかけたい言葉(質問2の答え)<br>- この本から学んだこと、考えさせられたこと(質問4の答え)
パン(おわり)まとめ・未来への抱負– これから自分がどうなりたいか<br>- どんな人におすすめしたいか<br>- 自分で付けた新しいタイトル(質問5の答え)

テンプレート活用例

【パン(はじめ)】

「僕がこの本を読んだのは、表紙の絵がかっこよかったからです。全部読んでみて、一番心に残ったのは、主人公の〇〇が、親友に大きな嘘をついてしまう場面です。」

【具(なか①)】

「〇〇は、本当は自分がやった失敗なのに、親友のせいにしてしまいます。いつもは仲良しだったのに、その一言で二人の間に冷たい空気が流れたのが、読んでいてとても苦しかったです。」

【具(なか②)】

「この場面を読んで、僕も似たようなことを思いだしました。僕も昔、本当のことを言えなくて黙ってしまったことがあります。〇〇の気持ちも少し分かります。でも、僕は親友に嘘をつくことはできないと思いました。」

【具(なか③)】

「もし僕が〇〇に会えたら、『早く謝ったほうがいいよ』と伝えてあげたいです。この本を読んで、一つの嘘がどれだけ大切なものを壊してしまうのかが分かりました。そして、『ごめんね』と正直に言う勇気がどれだけ大事かということを学びました。」

【パン(おわり)】

「これからの僕は、たとえ自分が悪くても、正直に謝れる人間になりたいです。この本は、僕と同じように、つい本当のことが言えなくなってしまう人に、ぜひ読んでほしいです。僕がこの本にタイトルを付けるなら、『ごめんねって言う勇気』です。」

どうでしょうか?先ほどの質問の答えをつなぎ合わせ、少し言葉を補っただけで、立派な読書感想文の骨格が出来上がりました。あとは、お子さんの言葉で、もう少し具体的に肉付けしていけば、あっという間に原稿用紙が埋まっていきます。

親子で読みたい!感想文が書きやすくなるおすすめ本3選

「書き方は分かったけど、そもそもどんな本を選べばいいの?」という方のために、感想文が書きやすい(=子供の心が動きやすい)本を厳選してご紹介します。

【小学校低学年向け】『おこだでませんように』くすのき しげのり

自分の気持ちをうまく言葉にできず、つい怒られてしまう男の子のお話。子供が主人公に共感しやすく、「自分だったらどうするかな?」と考えやすい一冊です。

【小学校中学年向け】『ぼくはアフリカにすむキリンといいます』岩佐 めぐみ

遠く離れたアフリカのキリンと、日本のペンギンの文通物語。手紙という形で感想を伝え合うストーリーなので、感想文のヒントがたくさん隠されています。ユーモラスで読みやすいのも魅力です。

【小学校高学年向け】『ワンダー』R・J・パラシオ

顔に障害を持って生まれた少年オギーの物語。多様性やいじめ、友情など、高学年が向き合うべきテーマが詰まっています。登場人物それぞれの視点で物語が進むため、「誰の気持ちになって考えるか」で感想の幅が広がる、感想文にうってつけの名作です。

FAQ:よくある質問

Q1. 作文そのものが苦手で、文章にするのが難しい場合はどうすれば?

A1. まずは「話す」ことから始めましょう。親がインタビュアーになって、魔法の質問をしながら会話を録音します。その後、録音を聞きながら、子供が話した言葉をそのまま文字に起こしてあげるだけでもOKです。それを一緒に読みながら、「てにをは」を直していく作業から始めると、文章を書くハードルがぐっと下がります。

Q2. テンプレート通りに書くと、みんな同じような感想文になりませんか?

A2. 心配ありません。テンプレートはあくまで「骨格」です。そこにどんな「体験」や「感情」という肉を付けていくかは、完全にその子オリジナルです。むしろ、型があるからこそ、子供は安心して自分の考えを表現することに集中でき、結果的に個性的な感想文が生まれます。

Q3. どうしてもやる気が出ない時はどうしたらいいですか?

A3. 無理にやらせるのは逆効果です。一度、感想文から離れて、親子でその本についてお茶でもしながら雑談してみてください。「この登場人物、パパに似てない?」など、リラックスした会話の中から、思わぬ感想の“原石”が見つかることもあります。書くことを目的にせず、対話を楽しむ時間を持つことが、遠回りのようで一番の近道です。

まとめ:読書感想文は、親子の絆を深める最高のコミュニケーションツール

これまで、読書感想文をスラスラ書くための具体的なステップをご紹介してきました。

  • 原因を理解する:書けないのは「設計図」がないから。
  • 部品を集める:「魔法の質問」で感想の“原石”を掘り出す。
  • 組み立てる:「サンドイッチ構成テンプレート」で文章を構成する。

もう、あなたは「早く書きなさい!」と子供を追い詰める必要はありません。あなたの役割は、監視役ではなく、子供の心の中に眠っている素晴らしい宝物を引き出す、最高のインタビュアーになることです。

読書感想文は、決して子供を苦しめるための宿題ではありません。一冊の本をきっかけに、子供が何を感じ、何を考えたのかを知り、親子の対話を深めるための、最高のコミュニケーションツールなのです。

今年の夏は、真っ白な原稿用紙を前に親子で頭を抱えるのではなく、本について楽しく語り合い、子供の成長を実感する、そんな夏にしてみませんか?

この記事が、あなたの憂鬱を吹き飛ばし、笑顔で夏休みを終えるための一助となれば、これほど嬉しいことはありません。